こんいろのブログ

ハロプロ関連の記事が主。後は将棋と猫を少々

純愛 三

 

 麻美は娘の萌の髪の毛を拭いてやりながら、

「萌ちゃんは、道重さんの事を好き?」

萌は大きくうなづきながら、
「うん。さゆみお姉ちゃん大好きだよ」

「そう。道重さんも萌ちゃんの事が大好きなの」

ふと、さゆが萌の事が好きなのは只の子供好きでは
無い事は明白なのだが、ぶっちゃけさゆはその性癖において、
萌の事が好きなのだが、
それを萌に説明するのが難しい。

五歳の萌にそれを言っても理解出来ないかもしれない。

 

さゆの場合は、単純に変質的な男性が幼女を偏愛するのとを
同質に捉えてはいけないような気がするのだけど。

「ねえ萌ちゃんは、好きな男の子とか居る?」

「いるよ。でも特別好きな子はいないよ」

「そう。お友達でお互い大好きで付き合ってる
男の子と女の子とかいるでしょ?」

「うん。いっぱいいるよ」

「そういう子達、彼氏とか彼女とか言うでしょ」

「うん。彼氏とか彼女とかいる子もいるよ」

「つまりね。そういう彼氏や彼女とかと同じ気持ちで
道重さんは萌ちゃんの事を好きなのよ」

萌はちょっと首をかしげている。

 

「道重さんはもうすぐ三十歳だけど、萌ちゃんは五歳。
けど、好きになるのには年齢は関係無いの。
萌ちゃんもニ十歳以上のアイドルの男の人を恰好良くて好きに
なる事をあるでしょう」
「うん。あるよ」

「道重さんは、萌を彼氏や彼女のつもりで好きなの」

「そうか。つまりさゆみお姉ちゃんは、萌の事を
彼女のつもりで好きって事?」

「まあそうなのだけど、あのね道重さんは萌の事を
彼氏だと思って好きだと思うな」

「え~!?じゃあ、さゆみお姉ちゃんは萌の事を
彼氏だと思ってるの?」

 

さゆは萌の事を同等どころか、萌を年上の彼氏だと
思っている節があると麻美はにらんでいた。
こればっかりはさゆに聞いて見ないとわからないが、

もしかすると、さゆ自身も意識して無いのかもしれない。
これは自分の事をSだと思っているが、実は本質はMだという
事になるかもしれない。

 

さゆは昔、ハロモニ。で年上の大先輩の中澤裕子さんに平気で
毒舌を吐いたりして『黒』だと思われていて、Sだと言われてるが
案外、本質はMだと思われる部分もあると思う。

 

「あのね、こんどさゆみお姉ちゃんを機会があったら
叱ってみるといいわ」

「ええ?叱るの?」

「そうよ。例えば年上のお兄ちゃんが小さい妹が
いけない事をしたら叱るでしょ。それと同じ事よ」

それでその時のさゆの態度で、SかM。彼氏か彼女。か、
わかるような気がする。

その機会が意外に早く巡って来た。

 

さゆが着換えて戻って来たので、夕食になる。

麻美が朝からさゆのために用意した心づくしの料理が
色々出された。

萌は、テーブルに萌も大好きなお気に入りの料理が出て、
ママ、さゆみお姉ちゃんとの三人で囲む食卓に浮き浮きとした
様子だった。

「いただきます」と萌と麻美らは食べ始めたのだけど、

ところがさゆはひと口、箸を付けただけで、箸を置くと

下を向いたままでまったく手をつけない。そして、

「本当にごめんなさい。何だか全然食欲が無いの。
悪いけど食べられないの・・・」

麻美は、無理も無いと思った。
今日のさゆには精神的にも肉体的にも、過酷な事が起こり

過ぎていた。

疲労困憊の状態では食欲がなくなるのはよくある事だった。

「無理に食べなくても・・・」と麻美が言いかけた時、

それは起こった。

萌が大きな声を上げた。


「ダメだよ!!」

 

麻美とさゆは、はっと顔を上げて萌を見た。

萌は怒っていた。

「ダメだよ!ちゃんと食べないと。
さゆみお姉ちゃんは今日はちゃんと食べたの?」

さゆは首を振って、
「朝早い飛行機だったので、朝、サンドウィッチを少し食べたきりなの」

「そうでしょ。いけないよ!ちゃんと食べないと
体に悪いでしょう!」

さゆは呆然として萌を見詰めた。

 

「そりゃあさゆみお姉ちゃんが疲れてるのはわかるよ。
でも、そんな時こそちゃんと食べないといけないんだよ!」

さゆみは、そんな萌を見てうなづいた。

「それに、このお料理はママがさゆみお姉ちゃんに
食べさせたいって朝から頑張って作ってたんだよ。
だから、せめて出てる分だけでも食べないと
いけないんだ!」

萌は、命令口調で言い聞かせるように話した。

まさに、さゆを叱りつけていた。

 

さゆは箸を手に取ると、
「わかった。萌ちゃんの言う通りなの。
さゆみが悪かったわ。食べる」

麻美は唖然として萌を見詰めた。
我が娘ながら、その毅然とした態度に感心した。

さゆはひと口、ふた口料理を口に運ぶ。

「さゆみお姉ちゃん、美味しい?」

「うん。美味しいわ。萌ちゃん!」

「そう、良かったー!」

萌は、見る者をなごませるような笑顔でさゆを見て、
それから、ちらっと麻美に目配せしたように見えた。

麻美は、萌が絶妙なタイミングでその機会を逃さず捉えて

実行した機転にあきれるばかりだった。

それに、さゆが食べられないと言って暗い雰囲気になるところを、
萌の一喝で一転してなごやかな雰囲気に変えてしまった。

 

さゆは麻美に向かって、
「本当に美味しいです。ありがとう。麻美さん」

麻美は頭を下げると、気がついてさゆの態度を確認する。

さゆの瞳はこぼれ落ちそうなほど潤んでいた。
そして、太腿の辺りがこまかく震わせているのを見てとれた。

明らかに感じているようだった。
おそらく、さゆのオソソはじっとりと濡れているはずに違いない。

萌に叱られて、萌えているのだ。

 

夕食が終わり、お茶を飲んでしばらく寛いだ後、
さゆが疲れてるところなので、休む事になる。

麻美は萌を見て目配せをする。

萌はすぐにわかって自分の枕を抱えて
さゆの後に従う。

今夜のさゆと萌は、事に寄ると、事に寄るかもしれないと
思ったが、まだ萌がパンツを脱ぐのは早いかなと思う。

 

いずれ萌がパンツを脱いだり脱がされたりして

さゆと結ばれるのは、この次になるだろうと思う。

母親としてそれは異常な事になるのだけど、

麻美には、ある思惑があった。

 

つづく。