こんいろのブログ

ハロプロ関連の記事が主。後は将棋と猫を少々

アイドルは悪魔の子供。

15歳のあいこは堅実な仕事につく事を考えていた。

そんなある日、ぼんやりスマホでネットを見て
いたら、「モーニング娘。オーデション募集!」
という文字が目に映った。

それを母親の鳩子が後ろから見ていて、

「お~アイドルね。ねえあいこはアイドルに興味はないの?」

鳩子とあいこの母娘は二人暮らしだった。

「う~ん、アイドルなんて考えた事も無いわ」

「アイドルだってりっぱな職業よ。試しにオーデションを
受けてみれば。なんなら私が一次募集を出してあげるから
応募してみれば」

と言うことになり、運良く書類審査が通り、二次審査に
進んだあいこ。

あいこの場合はひとつネックがあった。

それはあいこは、事情があって義務教育の小中学校を

全く通っていなくて、学歴が無かったのだ。

あいこが生まれた時、鳩子は私生児としてあいこの
出生届を出して自分の籍に入れていた。
そして六年立って小学校への入学案内が役所から
届いた。それを見て鳩子は考え込んだ。

あいこはすでに普通の人間の十五歳程の体に成長
していて、とてもじゃないけど六歳の子供と一緒に
入学出来るわけが無い。

思い余って当人のあいこに相談してみた。
あいこはあっさり小学校には行かないと言った。

鳩子は
「だって小中学校は義務教育でしょ、行かないと
何か罰でも受けるのと違うの?」

「あのねママ、義務教育っていうのは法的には
『義務』では無くて『権利』なの。
本人や親が学校へは行かないと判断すれば
行かなくても良いの」

「そうなんだ!でも、義務教育を受けないと
学歴が一切無いって事になると大変な不利に
なると違うの?」

そこはそれ、高校認定試験というものがある。
それに合格すれば高校と同程度の学力があると
認定されて大学受験資格を得る事が出来る。

あいこは国会図書館の蔵書をほとんど読んで暗記
してしまった頭脳の持ち主だから、たちまち認定試験に
合格して、二年前に国立大学の入試を受けて合格していた。

つまり小中校には行っていないのだけど、国立大学の
れっきとした学生なのだから大手を振ってオーデションを
受けられる。

そしてモーニング娘。の最終オーデションであいこを
通すかどうか問題になっていた。

審査員達は、わずか十五歳で国立大学のれっきとした
学生証を見てうなっていたが、
しかしアイドルに必要なものは天才的な頭脳だけでは
ダメなのだ。

この服田あいこさんは、歌唱力、ダンスなどは
まるでダメで、他に歌もダンスも優秀な子がいるし、
彼女は外すべきだ。という意見が多かった。

しかし、会長の鶴の一声で決まったのだが。
会長いわく、
「彼女には、並外れたオーラを感じる。
あの人間離れしたオーラを皆は感じないのか!」

あいこは普通の人間ではなかった。人間離れしていて
当然なのだが。

というわけで、あいこの元へモーニング娘。
リーダー岡村誉が合格通知をサプライズとして
やって来た。

誉は十年前にモーニング娘。に加入したが、
当時のメンバーはすでに全員が卒業していた。
最年少だった誉がリーダーとして残っていた。

当時、赤ちゃんのように可愛いと人気が沸騰していた
誉だったが現在の彼女は、
歌唱力、ダンスのパフォーマンスは完璧で、
理知的で優しく、たおやかで凛とした女性に
成長していた。

あいこは、人間として女性としてパーフェクトの
誉と対面した時、ひと目見てすぐにお互いを
認め合った。

人間の代表として。悪魔の代表として。

そう。あいこは悪魔の子供だった。

母親の鳩子が悪魔と愛し合って生まれたのが

あいこだったのだ。