こんいろのブログ

ハロプロ関連の記事が主。後は将棋と猫を少々

アイドルは悪魔の子供

かみこの株式投資は着実に資金を増やしていた。

株式というものは、ちょっとした事で大きく
株価を下げる事がよくある。
かみこは株価が下がるという直感をはたらかせて
下がる前に株を売りぬいて損害を出さずにいた。

現在の預金額は、三億円に達していた。
それで株式投資を止める事にした。

三億円の預金がある事は母親の小鳩には
内緒にしていた。小鳩の悪い癖は浪費家で
あればあるだけ使ってしまうのだ。

生活費は全部かみこの預金から出していた。
だから小鳩の稼ぐお給料はすべて自由に使える
事に小鳩は単純に喜んでいた。

「ママ、だからって無駄なお金は極力使わないで
節約して欲しいの」

小鳩はうんうんと頷いて、
「やっぱり堅実が一番ね」
口では堅実と言って、腹の中であれこれ買いたい
ものを思い描いている。

「でもあれね、かみこが株で儲けた預金がど~んと
一千万円もあるっていうのは心強いよね~
あれって減っていないよね?」

「うん・・・減っていないよ。もちろん」

本当は減るどころか、三億円に増えてるのだけど。

株式投資の相場は不安定な所があってかみこの場合
運良く資金が増えただけで、とても堅実とは言えない。

かみこは堅実な仕事につく事を考えていた。

そんなある日、ぼんやりスマホでネットを見て
いたら、「アンジュルムオーデション募集!」
という文字が目に映った。

それを小鳩が後ろから見ていて、

「お~アイドルね。ねえかみこはアイドルに興味はないの?」

「う~ん、アイドルなんて考えた事も無いわ」

「アイドルだってりっぱな職業よ。試しにオーデションを
受けてみれば。なんなら私が一次募集を出してあげるから
応募してみれば」

と言うことになり、運良く書類審査が通り、二次審査に
進んだかみこ。

かみこの場合はひとつネックがあった。
それはかみこは、悪魔の子供だから成長が人間離れで
産まれてわずか二、三年で人間でいう十五歳程に成長して
しまっていたので、小中学校に行っていないので、
学歴が無かったのだ。

かみこが生まれた時、小鳩は私生児としてかみこの
出生届を出して自分の籍に入れていた。
そして六年立って小学校への入学案内が役所から
届いた。それを見て小鳩は考え込んだ。

かみこはすでに普通の人間の十五歳程の体に成長
していて、とてもじゃないけど六歳の子供と一緒に
入学出来るわけが無い。

思い余って当人のかみこに相談してみた。
かみこはあっさり小学校には行かないと言った。
小鳩は、
「だって小中学校は義務教育でしょ、行かないと
何か罰でも受けるのと違うの?」

「あのねママ、義務教育っていうのは法的には
「義務」では無くて「権利」なの。
本人や親が学校へは行かないと判断すれば
行かなくても良いの」

「そうなんだ!でも、義務教育を受けないと
学歴が一切無いって事になると大変な不利に
なると違うの?」

そこはそれ、高校認定試験というものがある。
それに合格すれば高校と同程度の学力があると
認定されて大学受験資格を得る事が出来る。

かみこは国会図書館の蔵書をほとんど読んで暗記
してしまった頭脳の持ち主だから、たちまち認定試験に
合格して、二年前に国立大学の入試を受けて合格していた。

つまり小中校には行っていないのだけど、国立大学の
れっきとした学生なのだから大手を振ってオーデションを
受けられる。

そしてアンジュルムの最終オーデションでかみこを
通すかどうか問題になっていた。

審査員達は、わずか十五歳で国立大学のれっきとした
学生証を見てうなっていたが、
しかしアイドルに必要なものは天才的な頭脳だけでは
ダメなのだ。

この福田かみこさんは、歌唱力、ダンスなどは
まるでダメで、他に歌もダンスも優秀な子がいるし、
彼女は外すべきだ。という意見が多かった。

しかし、会長の鶴の一声で決まったのだが。
会長いわく、
「彼女には、並外れたオーラを感じる。
あの人間離れしたオーラを皆は感じないのか!」

悪魔の子供であるかみこは人間離れしていて
当然なのだが。
というわけで、かみこの元へアンジュルム
リーダー松本若菜が合格通知をサプライズとして
やって来た。

若菜は十年前にアンジュルムに加入したが、
当時のメンバーはすでに全員が卒業していた。
最年少だった若菜がリーダーとして残っていた。

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当時、赤ちゃんのように可愛いと人気が沸騰していた
若菜だったが現在の彼女は、
歌唱力、ダンスのパフォーマンスは完璧で、
理知的で優しく、たおやかで凛とした女性に
成長していた。

かみこは、人間として女性としてパーフェクトの
若菜と対面した時、ひと目見てすぐにお互いを
認め合った。
人間の代表として。悪魔の代表として。

それからかみこは、アイドルの国立大生として
活動して行くのだが、
そして大学である男子学生と運命の出会いを
する事になる。

その彼、前田薫は人間としての母親、憂佳と
薫を産んだ、大天使のアヤカの子供だった。


終わり。