こんいろのブログ

ハロプロ関連の記事が主。後は将棋と猫を少々

月に帰る

エピローグ

アヤカは衛星に着くと、
「あなたは武道館から突然消えたわけだけど、
当分の間この地球から離れていてもらうことになるわ」

「はい。でも私が消えてしまったらメンバーや
ファンが不審に思うでしょうね」

「その点は大丈夫。武道館内にいる約一万人に
記憶操作を行ったの。今日の武道館には
最初からあなたは参加していなかったという
事になるの」

「そうなんですか。皆は武道館の私の存在を
忘れてしまう事になるんですね・・・」

「ただし、過去に人間達に記憶操作を行った
結果、ほんのわずかの人間には効かない場合が
あるの」

「どんな人たちにですか?」

「それは、非常に優秀な人間。地球規模で人々から
信頼、尊敬されている人間。
そして、記憶を消される対象の人物である
あなたの事を愛している人間。

あなたもその人物を愛している人間。
かみこなら小鳩さんの事ね。神子は悪魔だから
違うけど。
もう一人だけいるのじゃないの?」

かみこはうなずいて、
「はい。若菜の事ですね。私は若菜を
愛しています。若菜が私の事を愛してくれて
いるかまだ確認出来ないですが」

アヤカはうなずいて、
「その若菜さんがかみこを愛しているのなら
この武道館公演にかみこが存在していた事を
一生忘れないでしょうね」

「はい。若菜だけはこの武道館での私の存在を
忘れないと信じています。

さっき、私はしばらく地球を離れる事になると
言われましたが、私は何処へ行くのですか?」

「さっき武道館の屋根の上から見えたでしょう。
スーパームーンと化した巨大な満月を」

「はい。あんな大きくて綺麗な満月を見たのは
生まれて初めてです」

「あなたが若菜さんに連絡する事を許可します。

自分は『月へ帰った』と言いなさい」

かみこは瞳を輝かして、
「月へ帰る。という事は私は「かぐや姫」に
なるんですね!」

「そうよ。一度前にかみこから地球を支配している私は
月から地球を監視しているのか。と聞かれた事が
あったけれどその時は言えなかったけど、実は
月の内部に基地が存在しているの。

その基地にしばらく住んで貰うわ。良い所よ。
地球と同じ環境だから大丈夫よ」

「それで私はいつまで月に居るのですか?
長くママや若菜に会えないのは辛いです」

「そうね。そんなに長くならないわ。
一年では長過ぎるわね。半年ぐらいかな」


武道館公演が終わった次の日に、
会長はマスコミ各社からあの話題になった、
福田かみこが、武道館公演を欠席した事について
取材を受けたのだが、

会長は適当に、武道館公演の直前の夜に突然かみこから
公演を辞退するという連絡があったきりで、
詳細は不明と発表しただけだったが、

一社だけ、不思議な事を言う新聞社があったのだが、
武道館に派遣したカメラマンが、福田かみこが
武道館に参加していた。と言い出して、あの脅威の
ジャンプを行った直後に消えてしまった。と言ったと。

そのジャンプが武道館の天井に達した瞬間を
撮ろうとした時、館内の全スポットライトが消えて
しまって撮れなかったと言っているそうだ。

そのカメラマンは非常に優秀な人間で社内でも
信頼されて尊敬されているという。
だから嘘やでたらめを言うとは思えないと。

あのツアー初日に、脅威の高さにジャンプしたかみこを
捉えて撮影した唯一のカメラマンだった。

その点について会長は首を捻っていたが、
とにかく異例づくめの武道館公演だったのだが、

武道館公演は当然のように衛星放送で生中継をする予定
だったし、ライブビューイングも全国の映画館で中継
する予定だったが、当日は晴れていたのになぜか、
どれも映像が乱れてまったく中継されなくて中止に
なってしまっていた。

それは地球を周回する人工衛星の一つから妨害電波が
出ていた事は、人間達には知る由も無かった。

それに武道館はツアー最終日なのでDVDマガジン
収録するため撮影されていたが、なぜか後で見ると
映像は全く映っていなかった。

その武道館公演の事実をすべて観ていた人間が
もう一人いた。

アンジュルムのリーダー松本若菜だった。

若菜は会長から、そのカメラマンの話を聞かされた時、
少しの間考えていたが、

「いいえ。武道館公演にはかみこは参加していません」
と、きっぱりと言った。

若菜は武道館公演が終わった後、
スマホにかみこからメールが入っている事に気がついた。

「私は、月に帰る事になりました。
あの武道館公演の時に迎えが来たのです。

私は必ず若菜の元へ戻って来ます。
このメールは読んだら削除してください」

若菜はそのメールの文章を頭の中に刻み込んで
削除した。

若菜はその後、その年のアンジュルムの秋公演を
もってアンジュルムを卒業した。

その後、かみこの名前は徐々に徐々にファンの間から
薄れて行ったが、

アンジュルム。そしてハロプロの、
伝説となってファンの心の中に永遠に残されていた。


翌年、若菜のスマホにあるメールが届いた。

「ただいま」

それだけで、若菜にはわかった。

「おかえり」
と返信して若菜はスマホを抱きしめた。


終わり。

 

あとがき

ようやく完結しました。
当初は最初の一回だけで終わる予定でした。
だから、

「アイドルは悪魔の子供」
の最後に、終わり。と書いてたのですが。

この時、
「アイドルの国立大生として活動して、
大学で薫と運命の出会いをする事になる」
と最後に書いたのだけど、

でも「運命の出会い」とは薫の事では無く

若菜。の事だったみたい。

どうやらかみこは、母親の小鳩と神子や、
ハロプロの伝統的に、男嫌いで女の子が大好きの
さゆみたいに可愛い女の子が一番好きみたいw

書いてる内に楽しくなって、ここまで続いてしまった。

もうたぶん、これを書くのは最後かもしれないかな。