こんいろのブログ

ハロプロ関連の記事が主。後は将棋と猫を少々

小鳩の怒り

その夜、かみこは家へ帰った。
小鳩はいそいそとかみこを出迎える。

「おかえりなさい~リハーサルお疲れ様。
今日はどんなレッスンをしたの?」

小鳩はダンスも歌も全くやった事の無いかみこが、
奇跡的にアンジュルムに合格したので嬉しくて
仕方がなかった。
さすがのハロプロで、ネットニュースでアンジュルム
新加入の三人の事を大々的に報じていたのを小鳩は
すべて保存して何度も見ていた。

かみこはいつも小鳩にリハの様子を話しているのだけど、
今日は少し憂鬱で口が重かった。

「かみこ、どうしたの?何かあったの?」
かみこは今日あった事を小鳩につつみ隠さず話した。

小鳩はかみこの話を聞き終わると、厳しい顔で
かみこを見ると、

「なんだって!?ちょっとダンスが出来ないからって
今度のライブツアーに参加させないって!!」
かみこはうなずいた。

小鳩は立ち上がると、阿修羅のように表情を変えて

「かみこ!すぐにハロプロを辞めなさい!!
いったい何様のつもりかいーー!天下のハロプロ
聞いて呆れる!」
すぐさまスマホを引っ掴むと、
ハロプロの事務所の番号を言いなさい!
今すぐかみこを辞めさせるからーー!」

かみこはあわてて小鳩をおさえると、
「ママ、落ち着いて!まだ正式に決まったわけでは
ないの。このままではダメだと言っていたダンスの
先生に、わたしがある事をやって見せたら、
それを見て何とかなるかもしれないと
言ってくれたの」

小鳩は不審そうに、
「その、ある事ってなんなの?」

「それは・・・言わないとダメ?」
「言いなさい。辞めるかどうかそれ次第よ」

「ジャンプが得意と言ったら、飛んでみせろって
言われて飛ぶしかなかったの」

小鳩はかみこの顔をじっと見つめて、
「まさか、十メートル程飛び上がったのじゃ
ないでしょうね?」

かみこは首を振って、
「まさか、そこまで飛ばないわ。まあだいたい
160㎝くらいよ」

「って、なんで160㎝ってわかったのよ」
「その、ダンスの先生の身長が160㎝だからよ」

「するってと、その先生の頭の上まで飛んだってことに」
かみこはうなずいた。

小鳩がどうやって飛んだのかと言うので、
かみこはその場で助走無しにふわりと飛んだ。

小鳩の身長は先生と同じくらいなので、その
頭の上まで飛んだ。飛び過ぎないように天井へ
手を着いて止める。

かみこは、
「これくらいなら、運動が得意な人間なら
飛べない事もないわ」

小鳩はため息をつくと、
「オリンピックの選手ならともかく、助走無しで
普通の女の子が飛べる高さじゃないわ・・・」

「ダンスの先生はそれを見て、考えを変えてくれたのよ。
明日のリハで試してみてツアーの目玉になるかも
しれない。って言ってくれたの」

小鳩は強く首を振って、
「やはりダメよ!そんな人間離れしたアイドルなんて
いるわけないわ。変な噂が立つわ。すぐに辞めなさい」

かみこはきっと顔を上げて、
「ママ!お願い!!今度のツアーには絶対に参加
したいのよ!大好きな人のためにも」

「大好きな人って誰なのよ」

アンジュルムのリーダーの松本若菜さんよ」


つづく。