こんいろのブログ

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悪魔の振り付け

翌日からのリハで、先生、若菜、かみこの三人は
他のメンバーが終わって帰った後も居残って
「空を飛ぶ」曲の振り付けの変更に取り掛かっていた。

ツアーの開始までわずか数日しか無く、昨夜先生は
ほとんど徹夜で振り付けの変更を思案したそうだ。

その変更案を若菜とかみこに示して意見を聞いた。
主にかみこの飛ぶ場面をどこに挿入するかというのが
問題だった。
現在のアンジュルムのメンバー12人だった。
元の振り付けでは12人のフォーメーションダンスは
かなり複雑な物になる。

特にかみこは、先生の試案を聴いたうえで、
メンバー全員の個々の振り付けや立ち位置を示して、

飛ぶ位置は、誰がいるから邪魔になる。着地点には
誰誰がいるから邪魔になるなどと、
事細かに問題点を指摘した。

先生はかみこを不思議そうに見て、
「かみこはまるで全員の振り付けと立位置を知ってる
みたいね」

かみこはうなずいて、
「はい。全員の分を覚えています」
「なるほどね。まさかセットリスト全曲の全員の

振り付けと立位置を覚えてるなんて事は・・・」

「もちろん、全部覚えています」

先生は呆れたように首を振りながら若菜の顔を見た。
若菜はうなずきながら、

「もちろん、自分以外の振り付けや立位置をね」
それを聞いてかみこは舌をペロッと出した。
それを見て二人は笑った。

最初は踊れないかみこは無視されて、振り付けや
立位置、歌割も無く後ろでうろちょろするだけだった。

三人は夜遅くなるまで振り付けの変更を話し合った。
絶対に今日中に完成させて、明日からは他のメンバーに
変更を覚えて貰わないといけないから。

先生はマネージャーに上の人へメンバーが覚えるまで
集中するからアンジュルムの一切の仕事を入れない
ようにと要求した。

完成した変更案は、かみこ以外の全員が中央に集まり、
その上をかみこが高くジャンプして飛び越えるという
壮大なものになった。
もちろん、全員が立ったままで。

若菜は、変更した振り付けの完成の期待と、
いまだに拭えない不安を感じていた。

後は「ゲネプロ」を残すのみとなった。