こんいろのブログ

ハロプロ関連の記事が主。後は将棋と猫を少々

だーさくの血液

あゆみの手術が執刀されている時さくらは婦人科の
待合室に腰かけて、ただただ手術の成功とあゆみの
無事を祈ってじっと手を合わせて待ち受ける事しか
出来なかった。

一時間程して眼を閉じていたさくらは誰かが肩に
手を置いたので、はっと眼を開けた。
すでに外は暗くなっていた。

そこにまりあがいた。
思わず、マドンナ!と声を上げた。

まりあは、首を振って
「違います。わたしはマドンナでは無いです。
わたしの名前は、まりあです」

それから一時間程してまりあを朝送ってくれた知り合いが
遅くなって心配して電話が入ったので、
黙ってさくらと手を強く握り合った後に帰って行った。

少しして、階下の手術室から吉田先生が戻って来て
さくらに声を掛けた。

「手術は、無事終わりましたよ」

さくらは心底ほっとして、思わず吉田先生に頭を下げた。

「いしださんはまだ麻酔が効いているので、
もう少し時間を置いて病室に戻れると思います」

今後は様子を見て二、三日は入院する事になる。

さくらは、あゆみさんの実家には報道陣の車が見張って
いるので、病院には来れなかったあゆみの家族に連絡を
入れる。安堵してさくらにお礼を言う。

それからまりあにも終わったと連絡する。
明日は自分の番だと言うと、まりあは、

「明日も行きます!」
力強く言う。

さくらは微笑んで、
もう大丈夫だから、来なくていいよ。と言ったら、

「いいえ!絶対に行きます!わたしはマドンナですから」

思わずさくらは笑って、

あら、わたしの名前はマドンナでは無くて、まりあです。
って言ったのは、何処のどなたかしら?
まりあは、えへへへと笑う。


あゆみの休んでいる病室に行ってみる。
ドアの上にはあゆみの名札が無かった。
名札を見た記者が勝手に入って来るかもしれないのだ。

やすらかに眠っているあゆみを見ていたら、
吉田先生が入って来た。

さくらは改めて頭を下げてねぎらうと、

先生は、
「私も今夜は病院に泊まらせて貰います。それに当直の
先生や看護師さんらが二時間おきに回診しますから」

さくらはふとあゆみの状態について少し心配になり
あゆみさんの現在の状態や手術の経過はどうなんですか?
と聴いて見る。

吉田先生は、さくらをじっと見詰めていたが、
「あなた達には何事も隠さない事にしています。
手術は成功しました。なにも心配する事はありません。
ただ出血が少し多かったのです。いしださんの血液型は
O型ですが、O型のストックは十分にあって大丈夫でした」

はい。それなら心配ないですね。

「昔は、O型の血液はどの血液型の人にも輸血出来ると
考えられてきましたが、
これはいしださんには直接関係無いのですが、

近年では他の型の血液の人にO型の血液を輸血すると、
赤血球が壊れてしまうということがわかり、
現在では同じ血液型の人同士の間でしか輸血が
行われなくなりました」