さくらは、手術が終わり入院したあゆみを残し一人で
ホテルに戻った。あゆみさんの経過や様子をみてたので
病院を出たのは深夜になってしまう。
タクシーで戻ったのだけど、ホテルのだいぶ前で
車を止めてもらう。もしや報道陣の車がホテルの
前で見張ってるかもしれないと懸念したのだ。
案の定、ホテルの前に二台の車が止まっている。
これではホテルには入れない。
記者に捕まると質問攻めにあって女一人では
どうにもならない。
そこで吉田先生に電話して相談してみる。
吉田先生は、わかった。何とかすると言う。
しばらくすると、ホテルから従業員が何人か
出て来て二台の車に近寄って追い払う。
なぜこのホテルに泊まっている事がわかったのか
わからない。でも手術は明日一日だけで、
その後は二人共、二、三日は入院するだろうから、
その後二人の家に戻るつもりだった。
さくらは部屋に戻りようやく一息つく。
朝、食べた切りなので途中でコンビニに寄って
もらい買った食べ物で味気ない夕食をすます。
あゆみさんがいない一人きりの部屋は火が消えた
みたいで、ひとしお寂しさが身に染みる。
早々にベッドに入ったのだけど、ベッドの中では
いつも抱き合って休んでいたので、あゆみさんの
匂いが強くこもっているような気がする。
従業員の方が毛布やシーツは替えてるはずなのに。
色々考えてしまって全然眠れなくて、朝になり
ホテルに頼んでいたモーニングコールで起きて
時計を見ると午前七時前だった。
わずか四時間ちょっとの睡眠だった。
