こんいろのブログ

ハロプロ関連の記事が主。後は将棋と猫を少々

衛星

明日が武道館でのラストのライブという前日に
小鳩とかみこは六本木のあのレストランに向かっていた。

六本木駅で降りて歩いて向かう。
小鳩が、
「どうせならロードスターで来ればよかったのに。
あのレストランの地下駐車場ならすいているし」

「歩いて行かないと、あれが見られないし」
「あれって?」

「もうすぐ見えるはずよ」

大通りの向こう側の50階以上の高層ビルをかみこは
見上げた。天空を指さして、
「ほらママ見えて来たわ。天空から一筋の光が
50階のレストランの窓に向かって伸びているわ」

小鳩はつまらなそうに首を振った。
「ごめんなさい。ママには見えないのね。
あの光の先に、太陽系を支配する大天使アヤカが
存在する証なのよ」

小鳩はうなずくと、
「かみこ、あの例の車を全部ストップさせて
車道を渡るあれをやるの?」

「もうあんな事はやらないわ。大人しく横断歩道を
青になるまで待つわ」

ビルに入ると、超高速エレベーターで50階まで
一気に上ってレストランに着く。
前回来た時入口で止められたけど今回はそんな
事は無い。案内がうやうやしくレストランのドアを
開ける。
この会員制のレストランは大天使アヤカの貸し切りで
広いホールには他の客は一切誰もいない。

窓際に三人が腰かけているのが見える。

三人の頭上に後光が差しているのが見える。

今日は大天使アヤカに会いに行くので小鳩とかみこは
思い切りドレスアップして足首まであるドレスを
身に着けている。

かみこは静々とアヤカに近づくと、片膝をついて
腰を降ろした。
アヤカは優しそうな笑みを浮かべて立ち上がった。

アヤカは白い上下のパンツスタイルでそんなに
目立たない感じでカジュアルっぽい服装だった。

アヤカは膝をついたかみこに手を差し出した。
かみこそのアヤカの手の甲にそっと唇を触れる。

かみこは顔を上げると、
「大天使様にまたお会い出来て大変光栄に存じます」

すると側に立っていた小鳩が、
「あのね、かみこったらアヤカさんに会えるので
昨夜はものすごく興奮していてね。中々眠れなくて
大変だったのよ~」

「ママっー!止めて!!」
「いいじゃない。本当なんだから」

そんな二人を見てアヤカはおかしそうに笑う。

見ると、息子の薫も笑っている。

かみこは薫とは同じ大学に通っているのだが、
かみこがアンジュルムに加入してから忙しくなり
ほとんど会えなくなっている。

アヤカは、憂佳と薫、そして小鳩にフルコースの
料理を注文すると、

「私はかみこさんに大事なお話があるから
失礼するわ。その間三人でゆっくりとお食事を
して待っていてね」

そしてアヤカはかみこと連れ立ってビルの屋上に
上がる。外は夕焼けが綺麗に染まり始めている。

アヤカはスマホで連絡を取り始める。

「準備は出来たわ。もうすぐ上空に来る頃ね」

アヤカは空を見上げるとかみこに、
「衛星が見えたわ。あそこよ」と指を差す。

かみこが見ると、暗くなり始めた上空に白く光りの
尾を引いて衛星が見える。

「行くわよ。しっかり私に掴まって」

かみこはアヤカにしっかり強く抱きつく。

アヤカは光のようにジャンプすると、十数秒程で
衛星の内部にワープして飛び込んで行く。

やがて扉が開いて、二人は居住区へ入って行く。
そこは人工衛星の内部とは思えないほど広く
約十畳ほどのゆったりとした居間になっている。

女性が入って来たので、アヤカはコーヒーを
注文して、
「かみこは飲物は何にする?ケーキとかも
あるわ」

かみこはホットミルクを頼む。

アヤカはコーヒーを飲みながら、

「あなたのあのジャンプは素晴らしかったわ」

かみこは顔を上げてアヤカを見た。

この地球を支配している神の領域の天空の住人で
あるアヤカは、地球上のすべての地域のデジタル
回線を駆使して、アンジュルムのツアーライブの
様子をあたかもライブビューイングを観るかの
ように把握している。

「今サターンは百万光年先の銀河系の星雲に
行っていてそれを知らないけど、
もし、知ったならあなたは、

瞬時に消されるわ・・・・」