こんいろのブログ

ハロプロ関連の記事が主。後は将棋と猫を少々

アイドルは悪魔の子供 六

「それではママは、私と神子ママを疑ってるってわけ?」

小鳩はうなづくと、
「そうよ。疑ってるわ」

「だっておかしいわ。あの時私がこの車には
神子ママの魂が宿ってると言った時は、
疑うそぶりも見せないで涙を流してハンドルに
抱きついて『愛してるわ』って感激してたじゃない」

「・・・そうよ!あの時は本当に信じてたのよ。
ロードスターには神子の魂が宿っていて私に
答えてくれたと涙が出るほど嬉しかったのよ!」

「じゃあなぜ今頃になって疑うようになったのよ?」

小鳩はしばらく黙ってかみこを見詰めていたが、
「それは、最近になって神子に無性に会いたくなって
きたのよ。会いたくて会いたくてたまらなくなって
きたの。年をとったせいもあるかもしれないわ」
「そうなんだ・・・」

「だから、ロードスターに一人に乗っているときに
神子の魂が宿っているからと、ロードスター
話しかけたのよ!何度も神子、神子って呼びかけても
何も答えてくれなかったのよ!

そのはずよ!かみこが側にいないと何も返事をくれないの!
かみこが魔法を使わないとダメなのよ!」

かみこは何も言えなかった。

小鳩は大きくため息をつくと、
「神子は今、何百万年光年先の星に飛ばされて
会うのは無理なのはわかってるつもりだけど、
でも、会いたい。ひとめだけでも会いたいのよ」

かみこは涙ぐむ小鳩の肩に優しく手をやって、
「ママのその気持ちは痛いほどわかるわ。
でもだから神子ママは、ママのお腹に」

かみこは自分の胸に手を当てて、
「ママが寂しくないようにと子種を植えつけて
それでわたしがママから産まれてきたのよ。
わたしは神子ママの分身として誕生したのよ」

小鳩は大きくうなづくと、
「そうよね。かみこは神子とまるで双子のように
瓜二つでそっくりね」

かみ子も大きくうなづくと、
「本当にそうね。わたしによく似ていたから
すぐにわかったわ。神子ママだと・・・・」

かみこは、思わずはっとなって口をおさえた、
小鳩は、きっとなってかみこを睨んだ、

「何よ!まるで、まるでかみこは神子と対面
したみたいね!」

何も言えなくて黙り込んでいるかみこを小鳩は
睨みつけていたが、その瞳は火を噴くように
燃え上っているようだったが、
やがてその瞳から一筋の涙がこぼれ落ちた。

「ママ・・・」

小鳩は拳で涙を拭うと、
「あなたは神子に会ったのね。何百万光年先の星に
居る神子を会えるようはからったのは、
大天使アヤカね。そうでしょ」

かみこは仕方なくうなづいた。

「あの時の事ね。アヤカとかみこが宇宙船に
乗り移ってしばらく帰って来なかった時ね」

かみこはアヤカが宇宙船内で星間ワープ回線を
使って何百万光年先の神子と対面させてくれた
事を話した。
ふと気が付くと小鳩の瞳からまた涙が噴出している。

「会いたい会いたい!どうしても会いたい!

かみこが会えたのに、何で私には会わしてくれないの!
そのワープ何とかで会いたいのよ!」

小鳩は泣き喚くように叫んだ。

かみこはすぐさまスマホを掴むと大天使アヤカへの
緊急の直通ナンバーへ掛ける。アヤカはすぐに出た。

事の次第をアヤカに訴えて何とか小鳩と宇宙船へ
乗り移って神子と対面させて欲しいと懇願する。

少しの間アヤカは考えていたが、アヤカは冷静な
口ぶりで答えた。

宇宙船には小鳩は乗せられない。と言う。
理由を聞くと、アヤカはこともなげに答えた。
「小鳩さんは、人間だから」

「わたしは会えたのになぜダメなのですか」

「あなたは、人間では無いわ。
悪魔の子供だから」