こんいろのブログ

ハロプロ関連の記事が主。後は将棋と猫を少々

アイドルは悪魔の子供 続編 三

「あなた、やったはね?」

小鳩の言葉に、かみこは少し眉を上げて、
「わたしが何をやったと言うの?」

小鳩は座り直すと、
「事の始まりは、うちが神子から無理を言って
新車を買ってもらった事からなの」

「今のロードスターの事ね」

「そう。長く乗っていたライフが古くなっていた頃、
スポーツカーのロードスターっていう車に一目ぼれで、
どうしても欲しくなり、神子に拝み倒したのだけど」
「もちろん断られた?」
「そのとおりよ」

『自分のお金で買いなさい』って神子に言われ、
「三百万円よ!安月給で買えるわけないよ!」
『貯金は無いの?』
「あるわけ無いっしょっ!クレカなどの払いで毎月
給料日二週間前には、一銭も残って無いから」

『って二週間もどうやって食べてたの?』
「五枚入り食パン79円をお金があるうちに買い込んで
パンだけでは飽きるので、五袋入りラーメン150円とか
をちびちびと食って過ごしてたよ~」

かみこはため息をついて、
「そんな状態でよく三百万の車を欲しがるわね」

「欲しいものは欲しいわけよ。でも神子は首を縦に
振らないのよ。悪魔なんだからちょちょいと魔法で
お金なんか出せばいいのに~」
「ちょいちょいとね・・・・」

「それで体(からだ)で言う事をきかすしかないわけ。
その頃は神子は営みの味をおぼえてきてたので、
毎晩のうちのテクニックで根負けして新車を買ってくれる
事になったわけ」
「それはよかったわね」と、かみこは投げやりに言う。

「そういうわけでうちの口座に三百万円を振り込んで
くれたわけよ」
「そのお金はちょいちょいと魔法で出したわけ?」
「たぶんそうじゃないの、知らないけど」

それで神子と一緒に小鳩の銀行口座に振り込まれた
三百万を降ろしにライフに乗って出かけることになった。

小鳩はうきうきとしてライフにキーを差し込んで回した。

しかし、ブルブルゥ・・・ンとエンジンは掛からない。
再度キーをひねっても、ブルブル・・プスンと掛からない。
何度も何度も何度回してもエンジンは掛からない。

頭にきた小鳩は、
「このーーー!オンボロクソライフがっーーー!!!!」
と大声で毒づいた。
そしてライフのハンドルを両手で強くバンバンと叩いた!

そんな小鳩をしばらく黙って見ていた神子は、

「落ち着きなさい。大きく息を吸ってからはき、
ゆっくり十を数えなさい。
それから優しくキーを回しなさい」

小鳩はきっとなって神子を睨んでいたが、
冷静な神子の様子見ていると、落ち着きを取り戻し、

言う通り、大きく息を吸い、息をはくと、
ゆっくり十を数えてから、優しくキーをまわした。

ライフは、ブルブルーーーブルーーーーーン!と
力強くエンジンは掛かった。

小鳩は驚いたように神子の顔を見た。
神子はうなづくと言った。

『ライフは、嫉妬してるのよ』

「嫉妬ーーー??!」

『初めてこのライフに乗った時の事を憶えてる?』

「よく憶えてる。中古だけど初めての自分の車で飛び上がる
ほど嬉しかった」

『長くあなたに大切に愛されて、ライフも懸命に
あなたに尽くして来たのよ。
そんなあなたがいよいよ新しい車、ロードスター
乗り換えると知って妬いてるのよ。可愛いじゃない』


続く。