こんいろのブログ

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アイドルは悪魔の子供 続編 10

アヤカは、
「あなたは、目の前でどんな事が起ころうとしても
あわてず落ち着いて行動しなさい」

アヤカの様子から何か恐ろしい事が起ころうとしている
のを感じた。

かみこはゆっくりと居間のドアを開けた。
ソファーに座った小鳩の後ろ姿が見えた。

「ママ・・・・」と声をかけた。

小鳩はゆっくりと振り返った。
小鳩は無表情でかみこを見る目の焦点があっていない。

「ママ、何をしているの?」
かみこは近づいて小鳩の様子を見て全身の血が凍りついた。

小鳩の右手に刃渡り二十㎝以上の大型のナイフを握り
締めている。そして左手首から血が流れ白いソファが
赤く染まっている。

そのナイフで左手首を切りつけたのに違いない。

大声を出そうとした時、かみこはアヤカの言った、
『落ち着いて行動しなさい』という言葉を思い出した。

小鳩は立ち上がると右手のナイフが光り、だらりと
下げた左手から血がしたたれ落ちている。

かみこはひと息吸うとゆっくり吐き出した。

「ママ。ナイフを渡して」 そう言うと手を差し出す。
意外に冷静で優しい声を出す事が出来た。

小鳩はふらふらとかみこに近づく。ナイフを握ったままで。

かみこは小鳩を抱きしめながらそのナイフに手をかけて
そっと受け取ると、遠くへ放る。

かみこは小鳩の左手首をそっと支えると、傷口を調べた、
血は出ていたが、そんな深くは無いようだった。
本能的に、傷口に唇を当てると舌で舐めて血を拭う。

丹念に唇を当てて血を舌で舐めとって唾液で拭ってゆく。
少しの間様子を見ると出血は止まったようだった。

その時、アヤカが居間に入って来た。かみこは振り返り
頷いて見せ、大丈夫だと知らせる。

アヤカもうなずいて、床のナイフを拾い近くのテーブルの
上に置いた。かみこは小鳩を抱き上げると、
反対側のソファに運び座らせる。

かみこも側に腰を降ろし、じっと小鳩を見詰めて、

「ママなぜ、なぜあんな事をしたの?」

「何も考えられなかったの。そして私が死んだら
神子に会えるような気がしたの・・・」

かみこの瞳から涙がこぼれ落ちた。
「ママ!ママが死んだらかみこも生きていけないわ!」

アヤカは、悪魔の子供であるかみこは死にたくても
死ねない体なんだけど。と思う。

その時だった。かみこが叫んだ!

「神子ママが来たよーーーーー!?神子ママが見える!」

アヤカも叫んだ!
「神子の送信が来たのね!!かみこさん!すぐに小鳩さんに
伝えるのよ!」

かみこは、小鳩の右手をしっかりと掴むと今まで遮断して
いた壁を開放して、神子の姿を小鳩に受信させた。

すると虚ろな表情だった小鳩の顔が、ぱっと輝いた。

「神子!あなたなのね!?本当にあなたなのね!!
あなたの顔が見えるわ!あたしは元気って?
あたしは大丈夫よ。すごい元気よ!!」

 

エピローグに続く。