翌朝、若菜は帰って行った。
かみこと小鳩は手を振って若菜を見送った。
小鳩が、
「松本さんって本当に可愛いわね。今いくつなの?」
「何歳だと思う?」
小鳩は首を捻って、
「すごく若く見えるけど、18歳くらいかな」
かみこは笑って
「今年で26歳よ」
「へえぇ~~そうなんだ、驚いた」
家へ戻ると小鳩は朝食のパンを焼く。
若菜に一緒に食べて行きなさいと言ったのだけど、
早く帰ってライブのレッスンがあるからと言う。
食べ終わり、紅茶を飲みながら小鳩はぽつりと言った。
「あの可愛い可愛い、若菜ちゃんが好きなのね」
「何よママ、妬いてるの?」
「妬いてなんかないわ」
「そうお。若菜はね私の一番の親友なの」
「一番のお友達ってわけね」
「私の一番大好きな人はね」じっと小鳩を見詰めると、
「今目の前にいるわ」
小鳩は小さくうなづくと、カップを手に持つと一口
紅茶を飲む。
それから二人は何となく沈黙が続いていたが、
小鳩が顔を上げてちらりとかみこを見て口を開きかけたが
また閉じてしまう。
「ママ。何よ、何か私に言いたい事でもあるの?」
「そう。最近気になる事があって夜もよく眠れないの」
「そうなの、でも今朝も起こしに行ったらよく寝てたよ」
「それは、夜は眠れないけど朝は眠れるので遅刻しちゃう」
かみこはアハハと笑って、
「何がそんなに気になるの?私の事?それとも、
神子ママの事?」
小鳩は顔を上げてかみこを見ながら、
「そうよ。神子の事は昔、まだかみこが産まれる前の事。
かみこの事は少し前の事」
「ふ~ん。だから何よ、気になるわ」
「それは、車の事よ」
「車?あ、ロードスターの事ね」
「そう。その当時はそんなに気にならなかった。それは
あなた達二人が、悪魔だからそんな事もあるかなと思ってた。
車は、二台の車の事ね。ロードスターと、前に乗ってた
ライフの事ね」
小鳩は、かみこの事をじっと見詰めると言った。
「あなた、やったはね?」
続く。