こんいろのブログ

ハロプロ関連の記事が主。後は将棋と猫を少々

だーさくの未来 一

レッスンの前にマネージャーがメンバーを集めて、
リーダーが隣に居て、さくらはピンときた。

やはり、リーダーが来年で卒業との事だった。
マネージャーがちらっとリーダーを見た。
リーダーが前に出て、
「そういうわけです。まだ少し先の事だし皆で頑張ろうね」

この前のイベントで珍しくリーダーが体調が悪くて
欠席したのでメンバー達も何となくそんな雰囲気を
感じていた所だった。

家に帰ってさくらはあゆみの顔を見て、
「いよいよ次はあゆみさんの出番ですね」
あゆみは首をかしげて、
「まだわからないよ。さくらっていう事も」

さくらは首を大きく振った。他のグループならともかく
モーニング娘。では年功序列でリーダーが決まるのが
慣例だった。さくらはスマホを取り出すと、

「それよりこの前のネットニュースを見ましたか?」

あゆみはうなずくと、
「今日さあ~まりあがうちの顔を見ていきなり、
おめでとうございます~。って言うから何だと思ったら
その事だったの」

それは今度の国会で同性同士の婚姻が審議されてほぼ
全会一致で成立されるのは確実だというニュースだった。

「それでさあ、指輪はいつ買うんですか?なんて言うんだ。
指輪って何の事?って言ったら、真面目な顔で、とぼけ
ないでください。結婚指輪に決まってるじゃないですか。
って」

さくらはソファーに腰かけているあゆみの膝に顔を
うずめてくる。あゆみその髪を優しく撫でながら、
「今度、一緒に買いに行こうね」
さくらぱっと顔を上げて。嬉しそうに
「はいー!」と答えた。

週末にツアーライブ初日を控えたある日、
あゆみは会長に呼び出されて事務所に顔を出した。

会長はあゆみの顔を見ると、まず座らせてから
「まず報告だけど、次のリーダーが決まったよ」

会長はちょっと間を置いたので、
あゆみが切り出した。
「やはり、12期のあの子ですね」

会長は少し苦笑いをしながら、
「よくわかったね」

「そんな気がしましたから」
「本来なら次のリーダーは、君がなる所なんだけど、
リーダーが声をかけたら、君は断ったそうじゃないか」

あゆみはうなずいた。

「そしてさくらにも断られたと聞いた。
それで色々話し合った結果、まりあに落ち着いたわけ。
最初まりあはリーダーになるのには難色を示していたけど、
ある条件を聞いて頂ければという事になったのだけど、
その条件とは」
会長はひと息ついて、お茶を飲んだ。

「何でしょうか?」
「まりあは君達二人について話した。君とさくらの事を」

あゆみは、まりあの言った指輪の事を思い出した。

まりあが言うには、
「あの二人は本当に愛し合っています。
メンバーの皆もあの二人は必ず結婚するものだと信じています。
もちろん二人もそのつもりだと思います。
二人の結婚を許してあげてください。それが条件です」

あゆみは自然に涙がこぼれ落ちてくるのを感じた。