あゆみさん、何処にも行かないで。
どうしたのよ。うちは何処にも行かないよ。
さくらはあゆみの膝の上に顔を寄せて、
私、夢があるんです。
あゆみはさくらの髪を撫でながら、
どんな夢?
あゆみさんとデュオを組んで一緒に全国をまわり
私が歌ってあゆみさんが踊るの。
うちには歌わせないつもりなの?
その方が良いかなって。
どうせうちはダンスしか能が無いから~
あゆみが時計を見て、もう遅いよ。明日は早いし、
お風呂入って休まないと。一緒に入る?
はい!
あゆみが先に入ってシャワーを浴びていると、
さくらが後ろから抱きついて来る。
それから浴槽に浸かりさくらはあゆみの膝に乗る。
あゆみはさくらの首に唇をはわしながら、
さくらの夢を実現するには、うちらは卒業しないと
いけなわね。
はい。一緒に卒業しましょう。
あゆみさんの夢は何ですか?
うちは、さくらと結婚したい。
さくらはうなづくと、
私もです。今この国ではまだちゃんとした正式の
結婚は出来ません。外国で同性同士の結婚が出来る
国も多いです。必ず近い将来女の子同士が結婚出来る
ようになります。
そうなると良いね。うちの夢は結婚して私達の子供が
欲しいの。うちが産んでもいいし、さくらにも産ませたい。
さくらは身体をいれ替えてあゆみを向いた。
残念だけど、私達女の子同士では子供を産むことは
出来ないのよ。男性の力を借りてその人の精子を
どちらかの卵子に人工授精させる方法しか無いの。
その方法では私のDNAしか子供に伝わらないのよ。
あゆみはさくらを抱きしめてその唇にキスをする。
しばらくしてお互いの唇が離れると、
幸い私達の身体には子供を産む機能、子宮があるわ。
毎月、卵子が子宮に降りて来るのよ。
その点、男性同士と違って有利になるはずよ。
将来医学が進んで精子の力を借りなくても卵子に
なんらかの方法で受精する事が可能になるかも
しれないのよ。たとえばさくらのDNAをうちの
卵子に植え付ける事が出来るかもしれない。
さくらは瞳を輝かせて言った。私とあゆみさんの
子供なら絶対に女の子の赤ちゃんが産まれるわね。